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剪定をしよう

  どんなに縁起のいい木を植えても,放っておけばジャングルになります。うっそうとした家は縁起が悪いと言いますが,これも当たり前でしょう。風水や家相の話を持ち出すまでもなく、そうした家は日当たりは悪いし,いろいろな虫の巣窟になります。健康にもいいはずがありません。

 

 見た目にも,「ここには人が住んでいるのか?」,「草取りもしないのか,だらしない人だな」などと人間関係においてもマイナスのイメージを持たれかねません。

 

 植木屋さんに頼むという方法もありますが,成長や季節に応じた剪定をしてもらうには,お金がかかります。また,自分と好みが違う仕上がりになることもあります。実際, 街を歩いていると,こんな切り方なら,いっそ切り倒した方が良いのではと思うような剪定の仕方を見かけることもあります。

 

 このページでは適切な剪定方法の概要について解説します。具体的な剪定例は他のページをご覧ください。

「なぜ剪定するのか?」

 

 「ジャングル」や「世間体」、「風水的な縁起」のほかにも剪定する理由があります。

 

 せっかく庭に自然を採り入れたのだから、人工的に切らず自然のままを楽しみたいという意見の方も多いでしょう。

 

 あまりセンスのよろしくない植木屋さんに切られると、ゴツゴツとした枝ぶりになったり、葉が少なすぎて硬い感じになり、確かに自然な感じがしなくなります。雑木の庭が増えたのも、そうしたニーズが背景にあってのことだと思います。

 

 もしあなたが、広大な敷地をお持ちでしたら、手入れをせずに自然な姿を楽しむことは可能です。しかし一般家庭のような限られた広さでは無理です。木は伸びるに従って、日の当たらない下枝がなくなります。放っておけば近所迷惑であるばかりか、目の高さの位置に葉がなくなり、家の中から鑑賞することができなくなります。

 

 また横幅も問題です。放っておけば、道路や駐車場、お隣さんの敷地に枝がはみ出します。慌てて適当な箇所で枝を切ると、コニファーのような針葉樹は枯れてしまいます。

 

 剪定の目的は、樹木を人間の日常生活と共存させつつ、自然な姿を維持することです。盆栽が世界的に評価されているのは、ごく限られた中に数十年、数百年来の自然を凝縮しているからですが、庭木の剪定もこれに準じて行われます。

「切り方に正解はない」

 

 しかし、絶対的な剪定方法はありません。地域(気候)や時代によって剪定の仕方が多少異なるということもありまが、最大の理由は、「その木」が世界に1本しかなく,剪定の成否を検証することが不可能だからです。

 

 また,髪型と同じで,剪定の「仕上がり具合」については、人によって好き嫌いがあり、評価が分かれるからです。

 

 よくベテランの職人さんが「一生勉強だよ。」と言いますが、それも頷ける話です。樹木の生理的な要素を考慮するだけではなく、お客の好みや芸術的なセンスも必要とされるのが剪定の技術だからです。

 

 たとえばマツやマキを電気バリカン(ヘッジトリマー)で刈り込む人がいます。また,モッコクの玉散らしを推奨している本もあります。これらは,私には耐えられない不自然な仕上がりになりますが,職人とお客さんが合意していれば,よそが文句を言う筋合いはないでしょう。

 

 では,実際の剪定に入りますが,まずは基本的なところから。

画像 ひこばえ 風水 ガーデニング

「木の根元はすっきりと。」 

 植木屋さんに弟子入りすると,最初に切らせてもらえるのが,写真の「ひこばえ」です。「やご」とも言います。木の付け根から生えている細い枝たちです。写真のものは相当に成長していますが,これを残していると根から吸収した栄養を余分に消費してしまします。見付け次第,のこぎりや鋏で切り取りましょう。

 

 ただし,木の本体が弱ってきたときや,大きくなりすぎて困る場合は,あえて「ひこばえ」を残して,メインの幹の方を切り倒すこともあります。しかし,「ひこばえ」っていう名称,かわいいと思いませんか。

風水 ガーデニング 剪定1

「木を見て森を見ず。」 

 剪定に慣れないと,一本一本の細かな枝にこだわって,全体が見えなくなりがちで,時間をかけて仕上げても,どこか不自然になるものです。自然に仕上げるもっとも簡単な方法は,太い枝を元から抜いて,細かな枝先はいじらないという方法です。左の図では,青で示したところを元から切るだけです。

 これだけで相当,すっきりするのが分かると思います。肝心なのはどれを切るべきか見極める力をつけることです。これは枝先を手入れする場合にも共通します。細かなことにこだわるより,太いものから順番に切るほうが,能率よく自然な仕上がりになります。「木を見て森を見ず」はダメです。

「左右対称にしない。」

風水 ガーデニング 剪定2
図1

 では,全体の形はどうすればいいのでしょうか。図1と図2を見比べてください。どちらが自然に見えるでしょうか。人それぞれ感じ方はあるでしょうが,左右対称ではない図1の方が自然な感じがしませんか。

 木を全体で見たときも,枝単位で見たときも,図1のように,枝が互い違いになるように残すのが基本です。見た目も良いし,風が通るので病害虫にも強くなります。

風水 ガーデニング 剪定3
図2

 ただし,木が小さいうちや,枝が少ない場合,一気にこれをやろうとすると失敗しますので,年月をかけて仕立てる必要があります。また,目隠し,生垣,トピアリー(動物やキャラクタターの形など)にしようという場合はもちろん例外です。

 

「木は上から順番に切る。」

 

 人間では,頭が小さい人がスタイルの良い人とされますが,多くの常緑樹も同じです。素人がやりがちなミスは,

①地面に立ったまま,手の届くところを恐るおそる切る。

②「失敗したかなぁ~」と思いながら更に失敗を重ねる。

③自信と気力が萎えて,挫折し,適当に切り始める。

④最初に切った,「手の届くところ」が,やけに薄くなり,

 切りづらい上のほうが濃く残る。というものです。

(「濃い」,「薄い」というのは,残った葉の数です。)

 

 結果,八頭身の美人さんではなく,頭でっかちになります。

イヌツゲやマキでこうした現象がよく見られます。

とにかく木は上から順番に切るのが鉄則です。  

 

「全部等しく切るのはダメ。」

右の絵をご覧ください。緑色が植木です。直方体の生垣にする場合,あともう少しで天端(一番上のライン)がそろいそうです。左上のラインに合わせて切っていけば良さそうです。しかし,不思議なことですが,慣れない方の中には,なんと矢印のところも更に低く切ってしまう方がいます。私が見ている限り,そっちの方が多数です。生垣にするのであれば,矢印のところは手をつけないのが正解です。でもなぜか,「切る」ことに専念すると,「切り続ける」みたいです。

同じように,生垣以外でも部分によって切り方を変えます。

画像 イヌマキ 風水 ガーデニング

写真のイヌマキのように,木は放っておくと日当たりのいい上の方が勢いよく伸びて,下の方や日陰の部分は貧弱になりがちです。上記の頭でっかちになります。生垣の例のように,上下左右を同じように剪定していくと,頭でっかちを再生するだけになります。一般的に,「七五三」と言いますが,残す葉の量は上を30パーセントとしたら,中段が50パーセント,下段が70パーセントくらいにします。抽象的すぎて分かりにくいかいもしれませんが,あくまでイメージです。また,同じ高さのところでも日向は強めに,日陰は弱めに剪定して,全体のバランスを保ちます。

左が剪定後です。このイヌマキは高さ150センチ程度で,剪定に要した時間は15分ほどです。15分のうち10分は最上段に費やしています。一番上は,それぞれの細枝に葉を2~3枚程度だけ残して,頭が大きくならないようにしています。一方,下の方は前回の剪定後に伸びた分(黄緑色のところ)を数本切っただけです。また,この木は形を作っている途中なので,必要な枝は黄緑色であっても残します。このように将来の姿を見据えながら,部分に応じて剪定することが大切なのです。

画像 クロガネモチ 風水ガーデニング

「強く切ると余計に増える。」

木にあまり興味がなく,なおかつ勇気のある人は,太い幹の途中でばっさりと切ります。その後,どうなると思いますか。木はそうそう枯れるものではありません。その逆です。確かにおもいっきり切ったその年はすっきりするでしょう。ただし,翌年,倍返しどろではなく,切ったところから,細枝が10本も20本も生えてくるのです。行き場を失った木のパワーが大爆発を引き起こすのです。この細枝を綺麗に手入れするのはプロでも面倒です。結果としてこの細枝たちは全部根本から切り取られ,木は不恰好な姿に切られ続けるというローテーションに入ります。そしてやがて根本から切り倒されます。そうしないためには,幹の途中で切るようなことはせず,面倒でも中くらいの太さの枝を数本残して形を作ってやる必要があります。そうすれば木のパワーは,残された中くらいの枝に分散されて,爆発的な成長はしません。

人間でもそうでしょうが,「あれもダメ,これもダメ」ではなく,「こっちならいいよ」という方向性を示して適当な逃げ場を作ってやらないと大爆発するのです。

ちなみに写真は幹を途中で切断され,4年経ったクロガネモチです。

画像 切り戻し 風水 ガーデニング

←極端な例です。チェーンソーで切断すると、倍返しどころか百倍以上に枝が増えます。意図的に木を作り直すときに用いる方法でもあります。

 

 その場は、すっきりしても数年後に大変なことになるのがこうした強い剪定です。

「錯覚を利用する。」

心理学の基礎で,「プレグナンツの法則」というのがあります。詳しくは各自で調べていただきたいのですが,簡単に言うと,人間がモノの形を認識するとき,モノ本来の複雑な形ではなく,より簡潔な形として認識しやすいというものです。私は植木の切り方を勉強していたとき,この法則が頻繁に頭に浮かびました。これは植物の性質を考えて切ることとは別の話ですが,植木の造形を考える際にはきわめて有効な法則です。もっとも簡単な例では,一枝一枝の細かなことより,青空を背景にした際の,木全体のシルエットが大事ということです。それは枝と枝の間隔の取り方や残す葉の濃淡によるものです。このあたりのことは難しくなるので,気が向いたときにまた記します。

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