庭木で開運TOP > 剪定の道具
自分で木を切るには道具がなければ話になりません。私がメインで使用しているのは①木バサミ②刈り込みバサミ③ノコギリの3つです。芝刈りを含め,長年この3つで庭仕事をやっています。値段は総額で1万円ちょっとですが,自分の家だけをやるなら5年以上は使えます。
1 木バサミ
|
「植木バサミ」とも言いますが、職人の間では「木バサミ」あるいは「南蛮」と呼んでいます。手を入れるところの形が独特ですが、これは剪定の際に周りの枝を不用意に傷つけないよう計算されたものです。ちなみにこの形を「蕨手」(わらびて)と言います。蕨の新芽のようにコブシ型に巻き込んだデザインということです。
使いやすいハサミというのは、使う人の手によって万別ですが、ある程度の重量がある方が、安定感があって使いやすいです。ホームセンターなどでつい手を伸ばしがちな1,000円~2,000円の品は、すぐに刃こぼれしたり、刃と刃の噛み合せが悪くります。特に素人の場合は無理しがちなので、余計にハサミに負担がかかります。
直径1センチくらいまでの枝であれば、この「木バサミ」で剪定し、それ以上の枝はノコギリで剪定します。木バサミで1センチ近い太い枝を切る場合は、ハサミを持っていない方の手(右利きの場合は左手)で枝を向こう側に押して、切り口を開く感じで切ります。
木バサミを使う際は作業用のゴム手袋の使用をお薦めします。特に慣れないうちは、手のひらの中央を挟んで血豆を作ったり、指の皮膚が擦れて皮がむけやすいからです。
2 刈り込みバサミ
|
「植木屋さん」と聞いて真っ先にイメージする道具がこの「刈込鋏」ではないでしょうか。生垣や玉散らし、またはトピアリー(ディズニーランドにあるようなキャラクター型の刈込)に使います。当然ながら枝を一本一本刈るのではなく、全体的な形を作るための道具であり、例えばカクレミノやヤツデのような葉の大きな樹木ではなく、ツゲやサツキのような葉が小さな樹木に使用します。
芝刈り用のハサミと少し似ていますが、芝刈りバサミとは多少刃の反り方が違います。芝刈り用は、座って使ったとき、芝生面に刃がフィットするような角度になっています。ただし、刈込バサミがあればどちらでも使えます(詳細は「芝生の手入れ」参照。)
これもホームセンターなどにたくさんの種類がありますが、安いものはすぐに嚙み合せが悪くなります。一般的には刃が厚く、刃渡りの長いものの方が疲れにくいとされていますが、体に合わないと柄が邪魔で刃の開閉が大変です。
また、替え刃式のものもありますが,替え刃方式のものは軽く安定せず、使用感が劣るので,多少の手入れが必要でも,替え刃ではないものをおすすめします。
刈り込みバサミの使用は、慣れるまで難しいものです。左手を固定して右手で刃を開閉するようなイメージで刈り込みます。また、刃先がしっかりと嚙み合わさるよう、柄を内側に絞るようにして使います。(左手は右回りに、右手は左回りに絞る。)
3 ノコギリ
|
ノコギリには様々な種類がありますが、ガーデニングの作業においては、片手で楽に持てるものが適しています。また、むやみに樹木を傷付けないよう、片刃のもので、刃の先端部分が丸くなっている「先マル」の「クシ型」を選びます。樹木に優しい道具が使い手にも優しく、作業しやすいものになります。
刃の長さは25センチから45センチが一般的ですが、通常の家庭であれば24~27センチのものが使いやすいです。昔は刃を研いで使いましたが,今は「替え刃」方式が主流です。
自分で「目立て」ができる人はともかく,替え刃は1,200円程度で確実に切れ味が増すので素人向きです。ただし素人だと切れ味が良すぎて怪我をする可能性も増しますが。
ノコギリで枝を切る際の最大のポイントは、もう片方の手で枝が揺れないように固定することです。当然のことですが枝が揺れていると、切り口が汚くなります。見た目も悪し、病害虫の発生を招きやすく、また傷の快復も遅くなります。
素人が木を元から切るような「伐採」をする場合、幹にノコギリが挟まって途中で身動きできなくなることがあります。ノコギリを使用する際は、切り進めるに従って、切り口が開いていくよう、ノコギリとは反対側に左手で幹や枝を押し倒すことが作業を楽にするポイントです。
4 剪定ばさみ
|
似たような名前が続くので混乱しがちですが、今度は「剪定ばさみ」です。グリップのところにバネが内蔵されているものと聞けば、分かりやすいかもしれません。
元々はヨーロッパで果樹剪定に使用されていたもので、「より早く、より楽に」という主旨で発達したハサミです。プライドのある植木職人は使用しませんが、太い枝でも力を入れずに切れるので女性向きのハサミと言えます。
木バサミと異なり刃が片方にしかないので、細かな枝を元から切り取るような剪定には向いていません。また、どうしても切り跡が残ってしまうのが難点です。
5 脚立(きゃたつ)
プロが愛用するのはスギやヒノキの丸太を三角に組んで、竹の支柱を加えたものです。軽くて扱いやすく、柔軟性があり、法面でも作業しやすいのが人気の秘訣で私も愛用しています。ただし市場では流通しておらず、自作するか竹材店に依頼するもので、素人には入手しづらいのが現実です。
ホームセンター等には同形でアルミ製の脚立が販売されています。木製よりも重く、柔軟性がないので使用感は劣りますが、耐久性、安定感があるので一般家庭で使用されます。
脚立を使用する際は、桟(踏み段)に身体を密着させるよう、支柱側に体重をかけます。左右の力には弱いので、面倒でも作業箇所に応じて細かに脚立自体を移動します。また、特にタイルやアスファルトの上で作業する場合は、脚立の足と支柱をロープで結び、脚立が開いて倒れないように固定します。ちなみに労働安全規則(第528条!)では、脚と水平面の角度は75度以下にせよと規定しています。
高いところの作業に脚立は不可欠ですが、置き場所に困るものでもあります。不用意に家の周りに置くと防犯面の不安がありますし、見た目がオシャレな脚立はほとんどありません。物置や家の中に収納できればベストです。
個人的には、大きな脚立を使わず作業できる高さに、樹木の頭を抑えるのが良いと考えます。特に高齢の方には賛同していただけるのはないでしょうか。「目隠しだから無理」というケースがほとんどでしょうが、盆栽のように縮景として庭造りができれば理想的です。
これらのほかに,ハサミの入れ物(ケース)や砥石が必要になります。砥石と聞くと,本格的なイメージがありますが,よほど雑に使用しない限りは,植木鋏や刈込鋏の表面に着いたゴミを軽くこするだけなので,素人にもできます。
最後に、やはり一番大事なのは「手袋」です。本当は素手でやり続けていれば手の皮が厚くなってもっとも作業しやすくなるのですが・・・文明人はそうもいきません。手袋のウンチクは他のページでお話します。