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ダメな剪定の例②

提灯まつりですか

剪定失敗シラカシ

 

 同じ日に、同じような刈り込みの失敗例を見付けました。

 一枚目はシラカシです。結構、よく見かける風景ではないでしょうか。いろいろな樹種で、このような生垣を見ます。

サザンカ 生垣失敗例

 二枚目はサザンカです。探せばいくらでもありそうな仕立て方?です。すでにお分かりと思いますが、ダメなポイントは下枝がないことです。目隠しにはなるでしょうが、なんとも不恰好で不安定です。下をくぐって行ったり来たりできるというメリットはありますが。

 

 そもそも常緑樹の剪定の目的の一つは、このようにしないことです。このような状態になる経緯は以下のとおりです。

①植えてから何年もほったらかし

②日が当たらない下の方の枝が枯れてきた

③茂りすぎて邪魔になって初めて、一気に刈り込みをした

 

 木は放っておくと上へ上へと伸びる性質があります。日差しを求めて当然のことですが・・・。広い場所で剪定せずに大きく育てるなら下枝がなくても、遠景でみるとそれなりの絵になります。しかし、ばっさりと上を切ると、絵になりません。このようにしないためには、毎年少しずつ手入れして、上部の成長を抑制しつつ、下枝を枯らさないようにすることにつきます。後から下枝を増やすのは困難です。

イヌツゲのような・・・

サザンカの刈り込み

 次は、けっして失敗とまでは言いきれませんが、気になる刈り込みです。ツゲとかマキ、時にはモチノキなどで見かける「玉散らし」仕立てですが、これはサザンカです。

 サザンカは萌芽力(芽を出す力)が強いので、生垣にも利用されますし、好きな形に刈り込んでも問題ない樹種です。また、玉散らしは例えば部分的な枝枯れを起こして、円筒形や楕円形に刈り込めないような場合、緊急避難的に用いる場合もあります。

 それでもなぜか私には違和感があります。不自然というか、品がないというか・・・。横を通りかかって視界に入れば、「えっ、サザンカなの?」と二度見してしまう存在感です。

未確認飛行物体

イヌツゲの玉散らし

写真はイヌツゲです。

たぶん私とは異なる価値観の方々の間では人気があるみたいで、こうした仕立て方を、キャラボク、チャボヒバ、マキ、マツなどで見かけます。上から下まで、大きさも厚みも似たような円盤が重なっています。

こうした形は西洋の幾何学式庭園には似合うでしょうが、日本家屋には不向きだと思います。庭を眺めたときに、落ち着きなく、ソワソワしてしまいます。
いわゆる「玉散らし」とは違うテイストのもので、どちらかというと不自然さを特徴とする「トピアリー」に近いものでしょうか。

 

一番上の玉を小さく薄く、一番下を大きく厚く、そして円筒状につなげず、玉をあちこちにバランスよく散らすのが一般的な方法です。

象の足から・・・

カシ剪定 失敗

 またもやシラカシです。シラカシはドングリの実からどんどん増えるので、ちょっとした山林には幼木が生えています。また、お店でも安価で売っています。そのせいか、ないがしろにされているカシが多いものです。

 適当に切断された姿は、横に迫る有刺鉄線とともに痛々しいものがあります。こういうのは「剪定」ではなく「処理」で、物理的にどうしようもないときに施すもので、この事例も「上手に剪定しよう」という意図はまったくないはずですが、ダメな例としては格好の材料になります。

 やはり、木は根元から上へいくに従って徐々に細くなっていくのが自然の摂理で、写真のように象の足から針金が生えているような極端な切り方はご法度です。カシは丈夫なので、このようにしても枯れることはほぼありませんが、この後始末が大変です。生き残りをかけて切断面から無数の徒長枝が生えてきます。

 

コノテガシワ その2

コニファー 剪定 失敗

 モヒカンに続く登場です。画像ではやや分かりにくいかもしれませんが、これも基本的な失敗パターンです。基本パターンというのは、

 

①とりあえず手が届く下の枝をいじってみた。→②よく分からなくなって途中で止めた。→③以降、木を見ないことにした。→④何年も放置した。という感じです。

 

 これが逆なら(上だけやって途中で止めた)、まだ、救いようがありますが、下だけは勘弁です。手を付けたら最後まで責任を持ってやり遂げようではありませんか。

 

着ぐるみのようなモミジ

モミジ 剪定 失敗例

 庭木の中でもモミジは人気があります。しなやかな樹形、鮮やかな新緑、そしてもちろん紅葉を目当てに、モミジを植える人は後を絶ちません。

 しかし、モミジは成長が早く、なおかつ剪定の難しい樹種です。専門的にいえば、「大透かし」、「野透かし」といった技が必要で、センスもいります。なんだか難しそうです。

 その結果、町中では写真のように刈り込みバサミでまん丸に刈られたモミジを見掛けることが多くなります。

 深く考えなければ違和感を持たず目の前を通り過ぎていく景色ですが、私は思わず二度見したくなる景色です。どこか着ぐるみのようで、今にも歩き出しそうです

 人は形が整ったものをキレイだと評価しがちですが、モミジの魅力は野趣のある不揃いな枝振りです。幾何学的に刈り込まれたモミジを見る度に、もっと広いスペースに解き放ちたくなります。

荒野のサボテン

これもモミジです。さっきのモミジとは対極にあります。切られすぎのパターンです。

「モミジってなんかいいよね」という感じで植えたはいいけど、ほったらかし。でもって数年後に気付いたら邪魔になったので、ノコギリで上部を大胆にカットしました。という具合でしょうか。漫画に出てくるサボテンのようです。

剪定の仕方は論外ですが、ペロンとめくれかかった樹皮が追い討ちをかけます。こうした傷口はマトモに風雨にさらされ、やがて雑菌が入り、太い枝が枯れこんでいきます。太い枝を切る場合、その勢いで樹皮がめくれないように、一度に切り落とさず、何度かに分けて作業すべきです。

風にそよがない

ダメな切り方

 続いてはソヨゴです。風に揺られる様が、そよそよと涼し気なことから「ソヨゴ」と名付けらたはずです。が、これでは風に打ち克つか、木全体がユサユサ揺れるだけです。

 常緑樹のわりに鬱蒼としない、赤い実が楽しめるなどの理由で、現シマトネリコ時代が来る前は、シンボルツリーとしての栄華を誇りました。お値段もそこそこですが、これでは台無しです。

 ソヨゴは成長が緩やかで、住宅地においてここまで枝葉を茂らせるのは珍しいのではないでしょうか。剪定の際は、他より大きく飛び出した枝を元から切り取ったり、株もとのヒコバエを切り取ったりすればいいのですが、この木を見ると数年に一度は枝抜きをしなければいけないようです。

 モミジもそうですが、葉っぱの数はそこそこにして、うっすらと幹が透けて見えるようにしてこそ、風景に奥行きと味わいが出てくるのです。「茂みの中に何か潜んでいるのでは?」との恐怖心を煽るようではダメです。

生きてさえいてくれれば・・・

コニファー 失敗

 次は、いわゆるコニファーの「ブルーヘブン」(だと思う)です。

 切り口が見えすぎていたので、思わず立ち止まってしまいました。自信に満ちた堂々たる切り方に感服します。場所はわりとオシャレなお店の前です。私には怖くてできません。

 写真では分かりにくいのですが、細枝の分かれ目で切っているので枯れることはありませんが、それは生き残るかどうかだけの問題です。美的感覚を考慮すれば、細枝を残しつつ、切り口は見えないようにすべきです。幸いなのは切り口がしっかりしているので、傷跡がキレイなことです。

もう少し頑張ってほしいんですけど。でも、無理ならいいです。

レッドロビンの垣根です。

多分、こういうことでしょう。

①木が茂った

②通行の邪魔になるとこだけ切ろう

③上の方は面倒なのでいいや


通路の安全を確保するという点では、ダメではないでしょうが、木の生育と美観的にはダメです。

この状態を続けていくと、どうなるでしょう。

おそらく・・・

①頭だけが大きいキノコ型になる

②下の方の枝が枯れてくる

③見た目が悪いので、丸ごと切ってしまう

・・・といういつものパターンになりそうです。

ただ、いつも痛感しますが、こういうのってお年寄りが一人で一生懸命に頑張って下の方だけやって手一杯というケースも多いんですよね。なんとも感傷的に気分になる景色です。

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