ウメの剪定方法を解説します。ウメにも種類がありますが、ここでは花を観賞するウメを前提にしています。
早春を告げる代表的な花木である梅に花が咲かないとお悩みの方は参考にしてください。
梅の木を放っておくと
「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉は植木職人に限らず、広く知られています。梅は芽を出す力=萌芽力が大変強い植物です。放置すると枝葉が密生して庭が鬱蒼とします。それだけならまだマシですが、密生させると必ずといっていいほど、アブラムシ、ウメケムシ、カイガラムシなどの病害虫が発生します。しかも集団で大量に・・・。
また、梅の花は短い枝につく性質があります。放置してグングンと伸びている枝には付きにくく、仮に花が咲いても、まばらな印象です。梅は衛生上も観賞上も剪定が必要な庭木の代表選手です。
梅の剪定時期
梅の剪定のポイントは、その時期です。梅は芽を出す力が強いため、形を整えるだけなら一年中いつ剪定しても大丈夫ですが、これは花や実がどうでもいい場合です。集合住宅、公園や公共施設の梅は時期を問わず剪定されることが多いようです。
多くの庭木では花の直後に剪定するのが鉄則です。梅についてもそのように説いている教本があります。しかし、萌芽力の強い梅を花の直後に剪定すると、その後、徒長枝と呼ばれる枝が勢いよく伸びて梅の木全体の形が乱れます。そしてこの徒長枝にはたいてい翌年の花が咲きません。つまり梅は花の直後に剪定すると、花が咲かない枝を増やすばかりか、樹形を乱し余計な手間がかかる結果につながります。
梅の剪定にベストな時期は7月ころです。開花以降、花芽を含めた新芽の形成が一段落した時期にあたります。これ以前に剪定すると、せっかく花芽になろうとしていたものまでが勢いづいて葉芽に変わってしまいます。
また落葉期にも剪定することができますが、これはあくまでも7月の剪定をし損ねた場合に限る次善の策と心得てください。
梅の剪定のイメージ
時折、お椀型の半球状にキレイに刈り込まれた梅を見掛けます。剪定しないよりはいいでしょうが、風情がありません。梅の樹形の醍醐味は、曲がりくねって味わい深い幹にあります。刈り込みだけで済ませた梅はせっかくの幹が見えません。
植木職人の間には「梅の木は裸で登れるように切れ」という教えがあります。「少し枝数が少ないかなぁ」という位の状態に、花がチラホラ見えるのが梅の趣というものです。人それぞれ好みはあるでしょうが、古来からそういうことになっています。
梅の剪定方法
ウメの剪定には木バサミを使います。刈り込みバサミで刈り込むのは、どうしても手が届かないところだけです。刈り込みバサミでは、太い枝が切れず、年々大きくなってしまいます。
写真を見ればお分かりと思いますが、ウメの花は幹に近い、短い枝(10センチ~20センチ)に咲きます。枝の先端には花が咲きません。従って剪定は枝が短くなるように、あるいは短い枝を残すようにすれば、花芽を減らす心配がありません。
具体的には、割箸ぐらいの太さの枝を5~10芽程度残してその先端を切ります。あまりにも勢いの良い枝は翌年の花が見込めませんので、元から切り取ります。また、毎年同じところで剪定すると、枝が太くなるばかりか、木全体も幅広になりますので、数年に一度は花を犠牲にして冬期に切り戻しを行います。