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庭木の剪定の時期

 

 「正月を迎えるからお庭をキレイにしなくては」ということで、年末になると植木屋さんに剪定を頼むお客さんが増えます。しかし、いくら温暖化とはいえ、何でもかんでも真冬にバッサリと切るのはいかがでしょうか。

 

 商売として剪定をする場合、施主が「切ってくれ。」と言えば「時期が悪い。」とはなかなか言いづらいものです。しかし植木にはそれぞれ剪定に適した時期というものがあります。

 

 しかし、庭木それぞれの適期に応じて何度も剪定に来てもらうのは、甚だコストがかかります。時期に応じた剪定ができることこそ、自分で庭木を剪定する最大のメリットかもしれません。


1 剪定時期の原則

常緑広葉樹(サツキ、ツバキ、カシなど)

 

 暖かい時期に剪定します。真冬に「強い剪定」(葉の数が大幅に減るような剪定)を行うと、木の勢いが弱まり、寒さの害を受けやすくなりますので、十分に気温が上がり、春の成長が一段落する5月から6月に剪定するのがベストです。

 

 土用の頃のような暑い盛りに剪定するのもNGですが、勢いがあって枝葉がたくさんあるような木の場合、夏に強めの剪定をすると樹勢を弱める効果があります。あまり大きく育てたくない場合はよいでしょう。しかし、花を楽しみたい木の場合は要注意です。

 

 一般的には花が終わると程なくして、木は来年の花に向けて準備を始めています。花を楽しむ場合は花が終わった直後に、全体の形を整えるための剪定を行うのが基本です。

 

 ただし、花よりも樹形や葉の色合い、葉の密度を重視した緻密な刈込物(イヌツゲなど)にする場合は、その年の成長が止まる10~11月に最後の剪定をすることもあります。これを「止め刈り」といい、翌春の芽出しを促す効果があります。

 

常緑針葉樹(コニファー類、マツなど)

 寒さに強いものが多いため冬でも剪定することができますが、バランスの良い充実した枝葉を作るには、新芽が動き出す前(3月~4月)に剪定するのがベストです。

 

 また、生垣やトピアリー、幾何学的な形にしている場合は、春先だけでなく、その後の成長に応じて夏や秋に軽く剪定して形を整えます。「軽く」というのがポイントで、強めの剪定を7~8月の真夏に行うと木全体が弱り、最悪の場合、枯れることがあります。お盆前に慌ててゴールドクレストやスカイロケットを一気に刈り込むのはNGです。

 落葉広葉樹(ハナミズキ、ヤマボウシなど)

 落葉後から初冬が適期です。この時期であれば、葉がないので枝ぶりも分かりやすいですし、芽の状態を確認しやすいので、慣れてくれば花芽と葉芽を見分けて剪定することもできるようになります。

 

 また、冬場の剪定は無駄な徒長枝(著しくバランスを乱す枝)を防ぎ、茂った樹形を作る効果があります。ただし、タイミングが大切で、新芽が出てくるような晩冬から早春は剪定を控えた方がいいです。特にモミジ類は発芽の時期が早いので、晩冬の剪定によって枯れることがあります。


 以上が基本的な考え方です。そもそも針葉樹(マツやゴールドクレストなどのコニファー類)は、360度どこから光があたっても、それを栄養に変えられるよう針状の形をしているのです。だから、冬場に剪定されて多少、葉の量が減っても耐えられるのです。


 一方の広葉樹は葉が平面状で、基本的には真上あるいは斜め上からの光しか利用できません。だから、日差しの弱い冬場に剪定されて葉の量が減ると木の勢いが弱まるのです。(落葉広葉樹の場合は理屈が異なります。)

 

 しかし、花や実にこだわらない場合、あまり難しく考えなくても、そうそう木は枯れるものではありません。おそれずに挑戦してみましょう。

2 人間に例えて覚える「時期ごとの剪定」

 樹木の剪定をしていると、「人間も同じだな~」と思うことが多々あります。一番分かりやすいのは、飛び出た枝は真っ先に切られることです。「出る杭は打たれる。」です。他の枝と協調しておとなしくしていれば切られることはないのに、自分だけ上に行って、太陽の光を独占しようとするから、目立って切られてしまうのです。

春の剪定

 地方によって多少異なりますが、樹木は平均気温が5度以上になると芽を出し始めます。3月~4月にかけて出てきた芽は5月ころまで成長を続けます。

 

 この時期の剪定の目的は春に咲いた花の枝の整理です。木によって多少の違いはありますが、花の咲く木は花が終わった直後に剪定するのがベストです。

 

 例えはきついかもしれませんが、「ひと花咲かせた枝」は役目を終えた「お年寄り」です。「お疲れ様」と声を掛けて切り除き、元気な若い枝に道を譲ります。こうして若い枝葉に十分な光と養分が回るようにします。

 

 私が植木屋さんをやっていたころ、お客さんの中には、花が終わりきっていないのにサツキツツジを刈り込んでくれという方がいました。また、半分近く花が残っているアジサイをバサバサ切っているベテラン植木職人も見かけました。

 

 しぼんで見苦しくなった花をいつまでも放置せず、おもいきって剪定すると、翌年も一面に花を楽しめるということを知りました。

 

 これを人間に例えるのは角が立つので止めますが、植木の剪定をしていると「世代交代」について考えさせられます。引き際が大切です。

夏の剪定

 夏には人々のエネルギーが活発になり、いろいろな場所に出かけることが多くなりますが、人がたくさんいるところで、肌と肌を合わせるのは不快ですね。

 

 木も同様に夏は枝葉があちこちに伸び、内部でも枝と枝、葉と葉が触れ合うほど繁茂し、日当たりが悪くなります。風通しも悪くなり病害虫が発生しやすくなっています。

 

 また、「ヤゴ」や「胴吹き」や「徒長枝(とちょうし)」といった、秩序をわきまえない枝が発生し、樹形が乱れてきます。人間界でも夏場は、力のあり余った若者が悪さをしやすい時季でもあります。

 

 この時季の剪定はそうした枝葉を切り戻し、人間にとって不快、不便なものを解消することが目的です。樹種によって多少異なりますが、他の枝より明らかに長い枝には、花芽がつくことはありません。そうした枝は根元から取り除きます。調子に乗って目立っている者には実がならないのです。

 

 また木全体が大きくなりすぎて手に負えない場合、この時季であれば幹を途中で切断して作り直すこともできます。この辺りを人間に例えるのは、皆さんのイマジネーションに委ねます。

 

秋の剪定

 気温の低下に伴い樹木は休眠状態になります。この時期の剪定は夏季と大きく変わることはありませんが、常緑樹と落葉樹で多少異なります。

 

 常緑樹は寒さが苦手な人間だと思ってください。冬に向かうこの時期、太い枝を切られたり、枝葉の量を大幅に減らすような「強い剪定」はリスクを伴います。夏のようなつもりでいつまでも半袖でいると風邪をひくのです。

 

 一方の落葉樹にとって秋はベストシーズンです。紅葉によって注目を浴びるし、実を付けたり、落ち葉を撒き散らしたりして話題を集めます。また、寒さも平気なので、いろいろな剪定が可能になってきます。


冬の剪定

 冬は樹木の休眠期間です。

 しかし、寒さの苦手な常緑樹は、安心して寝ているわけではありません。葉を付けたまま半信半疑で寝ています。強い剪定は控えます。また、剪定した傷口が凍るような時期はダメージを受けますので、少し気温が上がるまで待ちます。寒さの中、半端に起こして風邪をひかせないよう、そっと剪定をします。

 

 一方の落葉樹は寒い中、葉を落とし、安心しきって素っ裸で寝ているようなものです。枝透かし、切り戻し、枝おろしといった強い剪定をして形を整える適期にあります。

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