植木職人用語事典 ア行

赤玉土(あかだまつち)

 挿し木などに用いられる赤褐色の土のこと。関東ローム層の中層の土で、粒の大きさによって「大粒」「中粒」「小粒」に分けて販売されている。植物との相性はいいが、見た目は殺風景で、造形上の演出効果は低い。

油かす(あぶらかす)

 もっとも頻繁に利用される有機質肥料(天然由来)の一つ。大豆や菜種など油分の多いものから油を搾り取った残りカスで、その効果はゆっくりと表れることから、「遅効性肥料」とされ、庭木を植えつける際の元肥(植えるときに土に入れておく肥料)などに利用する。

 

荒木田土(あらきだつち)

 田んぼや河川敷の下層から産出される粘土。相撲の土俵にも使用されるほど粘着質であり、保水性や肥料を蓄えておく力は高いが、通気性、排水性が低いため、通常の庭に使用されることは少なく、水生植物に使用される。

 

アルカリ用土(あるかりようど)

 水素イオン濃度(ph)が7.0以上のアルカリ性の土のこと。雨の多い日本では弱酸性を好む植物が多く、アルカリ過多になると生育が衰えるものが多いため、酸性の「ピートモス」を使って調整する。

 

移植(いしょく)

 「植え替え」ともいう。通常、自然界では大地震や地すべりなどの天変地異がない限り、樹木は移動しない。しかし、庭園においては樹木の成長や、施主の好みの変化、土地の使用目的の変更に伴って樹木を移動することがある。樹木にとっては甚大なストレスやリスクを伴うものであり、これをフォローするために職人は「根回し」、「環状剥皮」、「幹巻き」、「根巻き」などの技術を駆使する。

 

一服(いっぷく)

 休憩時間のこと。おおむねAM10:00とPM3:00という目処はあるが、必ずしも定時ではなく作業のきりがいい時や親方、先輩が疲れた時に設けられる時間。「そろそろお茶買ってこい。」で始まり、「そろそろやるべ」で終了する。タバコを吸わない者は手持ち無沙汰であるが、会話に付き合いながら愛想笑いを浮かべ、身体を休める。ベテランになると一服中にも周囲の草むしりをしている。

 

犬のふん

 文字どおり、ワンちゃんの糞です。植木屋の敵です。剪定作業に入る前にすべて拾って、穴を掘って埋めること。施主にとってはかわいい愛犬の落し物ですので、露骨に嫌な顔はせず、「拾っておきます。大丈夫ですよ。」と笑顔で答える。

 親方や先輩には犬の糞が見えていないようで、これは新人の務めとなる。後回しにすると枝葉に付着して拡散する。

 

ウロ

 木の幹にできた空洞のこと。木質部分が腐ってできる。ウロの原因は様々だが、モミジやサクラなどでは過度の剪定「切り過ぎ」が要因のこともある。水を吸い上げる力が強い樹種の場合、葉っぱを切った分、根っこも切らないと水分の需給バランスが崩れてウロができる。しかし、多忙な現代社会において「根切り」は評価されにくい。根切りまでやっている植木屋さんは尊重すべきである。

 

枝打ち(えだうち)

 枝の生え方のこと。「枝打ちが荒い。」とは、幹から出ている枝などの数が少なく、標準的な剪定をするとスカスカになってしまう木を示す。

 

枝降ろし(えだおろし)

 太い枝をノコギリで切る、大掛かりな剪定のこと。枝をロープで巻き、切った枝が妙な方向へ落下しないように進める作業。単に枝をたくさん切るときに使うこともある。そもそも植木屋は枝を「切る」とは言わず、「枝をはさむ」、「枝を抜く」などと言う。これは「切る」が、縁起が悪い、忌み言葉とされているため。施主の前で「切る」という表現はしないのが基本だが、施主に合わせて仕方なく「切る」という言葉を使うこともある。

 

枝透かし

 木バサミを使って、込み入った枝を間引くことだが、「剪定」と同じ意味で使うことも。剪定する箇所や残す枝葉の量に応じて「大透かし」「中透かし」「小透かし」と三段階のテクニックがある。「こざかしい」ではなく「こずかし」。モミジなどの落葉樹をイメージして用いることが多い。

 

枝抜き

  「枝透かし」と同じような意味。木の切り方について多くの言葉があるのは、お客さんの前で「切る」という忌み言葉を使わないよう、庭師がいろいろと言い換えてきた結果である。

 

お茶(おちゃ)

 一服の時間になると旧家などでは、湯のみ、急須、菓子などがお盆に載って、文字どおり「お茶」が出てくることもあるが、それ以外の場合、新米が自動販売機やコンビニまで「お茶」を買いに行くことになる。お茶とはいっても、ミルクティーだったり、炭酸飲料だったり、コーヒーだったり人それぞれである。

 お茶を買いに行く際の留意点は以下のとおり。

①親方、先輩の嗜好を把握する。

 冬でも冷たいコーヒーがいいとか、どこそこのお茶は嫌いだとか、ついでにタバコも買ってこい、ソフトパッケージでな、とか面倒ですが、ニコニコしながら引き受けましょう。毎回確認するのではなく、親方や先輩の好みくらいは記憶すること。

②道に迷わない。

 都会の住宅地は要注意。下手に車で行くと一方通行だらけで元に戻れなくなります。徒歩で、曲がり角の「木」の特徴を覚えるなどして迅速に現場に戻れるようにしましょう。

③自分自身も休憩する。

 これが一番大事です。親方や先輩の言っていることをまともに引き受けると身体が続きません。一服の際、親方や先輩から見えている間は走って買いに行くふりをして、角を曲がったら歩いたり、自分の分だけ余計にジュースを買ってその場で飲み干したりしましょう。

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