春から続いた百花繚乱も一段落し、今頃に咲いている花木は、ごく限られている。その中でも目立つのがタイトルの二つだ。
ネズミモチ(今、関東地方で咲いているのはトウネズミモチ)は、庭木の中で言えば、いわば「雑魚」で、すき好んで植えるような木ではなく、「予算はないけど、取りあえず何か植えておかないと気まずいでしょ。」という場合に使われたり、鼠の糞のような実に含まれる種子が鳥などによって運ばれて勝手に増えたりする木だ。まして今咲いているトウネズミモチは、環境省が「生態系被害防止外来種」にリストアップしている侵略者だ。
一方のシマトネリコは私がこのホームページのあちこちに記しているように、最も人気のあるシンボルツリーであり、世間的にはいわば庭木の「花形」であり、すき好んで植えられている。
この扱われ方がまったく異なる両者が、今、同じように花を咲かせている。
これがトウネズミモチ
青空に、クリーム色の花がモヤモヤと映える
そして、これがシマトネリコ
すこしモヤモヤが多めだが、似たようなもの
こうして画像を並べると違いがあるものの、車を運転して通り過ぎるような状況では、ほぼ同じような印象を受ける。
そして、外は暑いので、人々の注目を集めていないことや、他に花が少ないため蜂などが群がっているのも共通する。
おそらく、日差しが強くなり始めた今時分は、こうした白もやタイプの花をつけるのが戦略的に有利なのだろう。じつはムクロジなども同じように咲いている。
嫌われ者のトウネズミモチ、人気者のシマトネリコ
扱いに雲泥の差がある両者が、人の都合とは関係なしに、同じような時期に同じように花を咲かせている。このコントラストが面白い。
ちなみに、この二つの花、近づいて見ると、それほど似てはいない。
こっちがトウネズミモチ
こっちがシマトネリコ
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