ヌルデからの手紙

 前略 私は「ヌルデ」と申します。漢字では「白膠木」と書くのですが少し難しいですね。またの名を「フシノキ」と言います。ウルシの仲間ですが、日本全国の道端に生えている、なんてことのない木です。


 平素から皆様方の視界に入っているハズなのですが、今ひとつ反応がないので、今回このような形で手紙を書かせていただきました。


 私は今、開花しています。


花はこんな感じにしています。


「あぁ、アレか。」と気付いてくださった方がいれば幸いですが、

「あっ、栗の花が咲いてる。」とか、「違うよ、リョウブだよ。」といった声の方が大きいようです。彼らとは開花の時期が決定的に違うのですが・・・。


遠目ではこんな感じです。山野だけでなく、そこらじゅうの道端で頑張っています。関東地方の高速道路沿いでは今、大キャンペーン中です。


しかし一向に話題にしていただけません。花が地味過ぎるのでしょうか。サルスベリやキョウチクトウといった派手な花の直後というタイミングにも問題があるかもしれませんね。

 あるいは数が多過ぎて、セイタカアワダチソウ的な立場にいるのかもしれません。


 かつて私たちの樹液は、御椀などの塗装に使われました(それで「ヌルデ」と呼ばれるようになったのですが)。あの頃は日本の産業を支えているという自負がありましたが、それも今や昔の話です。


 どうぞこの機会に私たちの名前を覚えてください。花のない時季にも簡単に見分ける方法をお教えします。


ポイントは枝です。ただの棒状ではなく、水掻きのようなモノを付けています。どうですか、気持ち悪いでしょう。カエルや爬虫類のヒレっぽい感じにしています。


今後はオレンジ色の紅葉や、納豆のような実を展開していく予定ですので、是非、注目していてください。草々


追伸 冬場は葉っぱがありません。春まで休業します。

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