植木を動物の形に刈り込んだりする方法を「トピアリー」といいます。ディズニーランドを始めとしたテーマパーク等で用いられる方法です。
自然の風景を縮小して庭園に採り込むのを主たる目的とする、伝統的な日本の造園からすれば、王道ではありません。しかし、いろいろな趣味や嗜好の層に、幅広く植物に親しむ機会を提供するという点においては、トピアリーはうってつけです。
実際、庭木の刈り込みについて話をしていると、必ずといっていいほど、「アヒルとかリスとかの形に刈り込むのって、どうやるの?」という話になります。植木に興味がなくても、トピアリーには興味を示す方もいらっしゃいます。
日本トピアリー協会!という団体もあるくらいです。それによりますと、トピアリーとは、ラテン語のopus topiariumを語源とし、「植物を人工的、立体的に形づくる造形物」だそうで、広い意味では日本の菊人形もトピアリーになるそうです。
トピアリーの作り方は、大きく3種類あります。
①金属などでできたフレームにアイビーなど、つる性の植物を這わせて形づくる方法
②植木を刈り込んで作る方法
③植木にメッシュ状のものを被せて作る方法
それぞれの方法には一長一短あります。①と③の方法は形を作るのは容易ですが、そこそこ良いお値段がします。②の方法は当然ながら製作者の腕前とセンスが問われます。
また、トピアリーに使う植木は何でもよいわけではありません。トピアリーを作るためには、
①常緑(一年中、葉が落ちない)
②刈り込みに強い(形を作りやすい)
③葉が蜜に生える(滑らかかつ、くっきりと造形できる)
といった3点を兼ね備える必要があります。
具体的には、キンメツゲ、イヌツゲ、ピラカンサ、キャラボク、イチイ、イヌマキ、ラカンマキ、カイヅカイブキ、マサキ、サザンカなどが使われています。
メリット | デメリット | |
キンメツゲ イヌツゲ |
成長が緩やか 半日陰でも可 |
成長が遅い |
ピラカンサ |
カラフルな実がなる | 棘があって扱いにくい |
キャラボク イチイ |
成長が緩やか 半日陰でも可 |
成長が遅い イチイは暑さに弱い |
イヌマキ ラカンマキ |
刈り込みやすい | 葉が大きく、葉を切り刻んで作るため仕上がりがやや汚らしい |
カイヅカイブキ |
葉の密度が高い |
大きくなり過ぎる。 小さくできない。 |
マサキ |
半日陰でも可 丈夫 |
うどん粉病になりやすい |
サザンカ |
半日陰でも可 丈夫 |
チャドクガという非常に不快な害虫がつく。 |